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TFGニュース 2025年6月号

中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
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2025年6月号 No.406
経営のお役立ち情報

Ⅰ交際費・寄付金・厚生費などの判断について

―紛らわしい科目の実務上の留意点―
 企業活動において、交際費や寄付金、福利厚生費などの費用は頻繁に発生しますが、それぞれの勘定科目がどのように処理されるべきかについて、実務上の注意が必要です。これらの費用に関しては、税務上の取り扱いや会計処理の仕方が重要で、正確に処理しなければ、税務調査で問題となることも有り得ます。そこで、これらの費用に関する実務上の留意点をまとめます。

■交際費

1.内容
  交際費は、取引先との関係を維持・促進するための支出であり、接待や贈答、会食、イベント参加費などが該当します。交際費の取り扱いは税務上の規制が厳しく、企業は注意を払う必要があります。
2.限度額など
  交際費には、一定額の非課税枠が設けられており、法人税法上、交際費のうち一定額を超える部分 は損金不算入となります。従って、一定額以上の支出金額の部分は法人税を支払う必要があります。
3.留意点
(1)事業関連性の証明
   交際費が事業に関連することを証明するため、支出の目的を記録として残しておくことが必要です。
(2)会計処理の一貫性
   接待費、交際費、福利厚生費などが重なる場合、それぞれの費用がどの勘定科目に該当するかを慎重に区分することが求められます。
(3) 支出の証拠
   領収書や契約書などの証拠を適切に保管しておくことが税法上、会社法上で定められています。

■寄付金

1.内容
  寄付金は、法人が社会貢献活動や地域支援、文化支援等を行うために支出する費用です。寄付金の 取り扱いも税務上の特別な規定があります。
2.限度額等
  寄付金のうち、一定の条件を満たすものについては損金として計上できますが、全額損金算入され るわけではなく、損金算入には上限があります。性質や寄付の支出先によって損金算入限度額は異なります。
3.実務上の留意点
(1)寄付先の確認
   寄付金を支出する際には、その寄付先が税務上どの支出先の区分に該当するかを確認する必要があります。支出先によっては、損金として計上できないことがあります。
(2)支出内容の明確化
   寄付金として計上するには、領収書や寄付金の使途について明確な記録が必要です。名目が拠出金や見舞金などであっても、実質的に寄付であれば寄付金として扱われます。又、社長が個人的に負担すべき寄付金を法人名義で支出した場合は、役員給与とみなされる場合もありますので留意が必要です。

■福利厚生費

1.内容
  福利厚生費は、社員の健康管理や生活支援を目的とした支出です。社員向けの食事代や健康診断費用、社内イベントの費用などが該当します。福利厚生費の取り扱いは、会社の規模や業種により異なりますのでご注意ください。
2.損金
  福利厚生費については、社員に対して実施される福利厚生が合理的である限り、原則として損金算入 が認められます。ただし、役員に対して支給された福利厚生費については、その取り扱いに留意する必要があります。役員の福利厚生費は、一般社員と同様に取り扱うことができる場合もありますが、その範囲や金額については注意が必要です。
3.実務上の留意点
(1)従業員全体への平等性
   福利厚生費として支出される費用が、従業員全員に平等に提供されているかを確認することが大切です。特定の社員に対してのみ支給された場合、その費用が「給与」として扱われることもあります。
(2)合理的な金額設定
   過度な福利厚生費は税務上問題視される可能性があるため、合理的な範囲内での支出が求められます。例えば、過度に豪華な旅行費用などは福利厚生費として認められない場合があります。

■その他の紛らわしい項目

1.内容
  企業が支出する費用の中には、交際費や福利厚生費、寄付金などと似た性質を持つ勘定科目もあります。例えば、接待交際費と福利厚生費の区別が曖昧になることや、広告宣伝費と販売促進費の違いが混同されることもあります。
2.制限事項など
(1)経費の分類を明確にする
   同じ支出がどの勘定科目に該当するかを正確に区別し、分類することが 重要です。誤った分 類がされると、財務分析する際に判断が難しくなってしまいます。
(2)勘定科目の見直し
   定期的に勘定科目を見直し、従業員や経営者が混乱しないような体系を整えることが、経理  処理をスムーズにするために重要です。特に、顧客向けのサービスや広告活動などで分類が難しい支出が多くなることがあるため、事前に経費分類ルールを定めることをおすすめします。
 
  交際費、寄付金、福利厚生費、その他、紛らわしい勘定科目については、それぞれに税務上の取り扱いが異なるため、適切な勘定科目の選定と管理が求められます。特に、支出の目的や相手先、金額、支出内容の証拠を残すことが税法上、会社法上定められています。したがって事前に社内での経費処理ルールを整備し、適切な会計処理を行うことが必要です。また、社内の経理担当者や経営陣と連携し、費用の分類方法を明確にしておくことで、経理処理の精度を高め、誤った処理を防ぐことができます。経営陣が経費管理に十分な理解を持つことも、企業運営の健全性を保つために欠かせません。

Ⅱ退職金を一時金で受け取る場合の税金

―退職金の税金の種類、計算方法、注意点―
 
退職金を一時金で受け取る場合には、どれぐらいの税金がかかるのか気になるところではないでしょうか?ここでは退職金に係る税金の種類、税金の計算方法、納付方法についてみていきます。

■退職金に係る税金の種類

退職金について課される税金は「所得税及び復興所得税」「住民税」です。

■所得税及び復興所得税

1.計算方法
  退職金を一時金で受け取る場合、「退職所得」として他の所得とは切り離して「所得税及び復興所得税」が計算されます。所得税額の計算方法を計算式で表すと次のようになります。
(1)退職金の所得税額=(退職金-退職所得控除額)×※2分の1×所得税率
(2)退職金の復興所得税額=(1)×2.1%
上記の(1)と(2)の合計が「所得税及び復興所得税」の税額となります。
※勤続年数5年以下の役員退職金は特定役員退職手当等となり2分の1とする措置はありません。
 また、勤続5年以下の退職金も短期退職手当等となり上記とは異なります。
2.退職所得控除額の計算
 上記1.(1)の退職金から控除される「退職所得控除額」は勤続年数が20年以下か20年超かで異なり、計算式は次の通りです。

勤続年数

退職所得控除額

20年以下

40万円×勤続年数

※80万円未満の場合は80万円

20年超

800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 
 
 
 
 

3.税率
   所得税の税率は課税される所得金額により次の表のようになります。
  なお、課税される所得金額は一時で受ける退職金の場合(退職金-退職所得控除額)×2分の1です。

課税される所得金額

税率

控除額

1,000円~1,949,000円

5%

0円

1,950,000円~3,299,000円

10%

97,500円

3,300,000円~6,949,000円

20%

427,500円

6,950,000円~8,999,000円

23%

636,000円

9,000,000円~17,999,000円

33%

1,536,000円

18,000,000円~39,999,000円

40%

2,796,000円

40,000,000円~

45%

4,796,000円

 
4.納付方法
    退職金を受け取るときに源泉徴収され、退職金を支払った会社により納付されます。

■住民税

1.計算方法
  退職金を一時金として受け取った場合の住民税額は以下のとおりです。
 退職金の住民税額=(退職金―退職所得控除額)×2分の1×10%(市町村民税6%、道府県民税4%)
2.納付方法
  退職金を受け取るときに特別徴収され、退職金を支払った会社により納付されます。

■主な注意点

1.「退職所得の受給に関する申告書」の提出が必要
  上記のとおり退職金の税額計算を行い、その税額が退職金の受け取り時に源泉徴収及び特別徴収され、納付を完了させるには、退職金を支払う会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出する必要があります。提出が無い場合には、「退職所得控除額」が控除されず、退職金に20.42%の税率をかけた金額が源泉徴収されます。確定申告を行えば、正しい税額により計算され、還付を受けることができますが、手間がかかります。
2.退職金を年金で受け取った場合には計算が異なる
  退職金を一時金として受け取らず、年金として受け取る場合には「退職所得」ではなく「雑所得」として他の年金等と合算され計算されます。
3.役員退職金について「不相当に高額」にならないよう注意
  役員に対する高額になりがちであり、課税庁から「不相当に高額」と判断されるケースがあるため、役員退職金を支給する法人は、注意が必要です。適正額を求める方法として「功績倍率法」といわれる方法が一般的です。

Ⅲ 取り入れたい企業文化

-失敗を恐れない行動-
 紅こうじサプリメントによる健康被害問題からの再生を目指す小林製薬の社長 豊田賀一氏への共同通信のインタビューの中で創業家の取締役留任についてのコメントの中で、創業家が構築した企業文化は悪いものではない。との言葉がありました。そのうえでガバナンスの改革をしていくとのことです。では企業文化とはいったいどのようなものなのでしょうか。

■企業文化とは

 企業と従業員が意識的、あるいは無意識的に共有して培われる独自の価値観や行動基準のことです。
 また、企業のアイデンティティを形成するため、経営活動や事業活動に対して大きな影響を与えるものであり、外部からの企業イメージにも直結します。そしてよく同時に語られるものとして企業風土がありますが、これは企業内で働く従業員間の人間関係をもとに、自然と生まれてくる価値観によって形成されるものなので分けて考える必要があります。

■企業文化を取り上げる理由

1.共通指針
  全従業員が企業文化という共通のガイドラインを持つことで、現場での意思決定が迅速に正しくできるためです。ビジネスの現場では、日々決断を迫られることがあり、意思決定の遅れや判断ミスから致命的な結果を招くこともあります。
企業文化が明確になっていると、それが社員全体の共通のガイドラインとして機能するため、従業員が現場で優先順位を迷いなく決定でき判断ミスを防げることになるのです。
2.生産性の向上
  従業員間の協調性やモチベーションを高め、結果として生産性を向上させる可能性があります。明瞭 な企業文化が存在する場合、従業員は「自分が会社のために何を達成できるか」や「その目標を達成するためにはどのような行動をとるべきか」を自主的に考えて行動できます。
3.人材の定着率向上が期待できる
  企業分野を外部に積極的に発信することで、魅力の感じる優秀な人材が入社を希望する可能性が高ま るでしょう。また応募者を自社の企業文化にマッチしているかどうかを基準として応募者を評価する音で、採用後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

■企業文化に組み込みたい

1.    失敗の報告件数が多い(故 長嶋茂雄 語録より 失敗は成功のマザー)
 専門的には「心理的安全性が高い」といわれ、失敗を共有して、そこから学び改善していく文化です。「こんなこと言ったら空気が悪くなるかも」「否定されたら怖い」そんな心理状態になったことは誰しもあると思います。この企業文化は、発案したアイデアは出した時点で会社のもの。従って自分のアイデアであっても客観視して意見を言う。そしてそこからアイデアをブラッシュアップして製品化や事業プロセスなどあらゆる場面で活用する企業文化です。「失敗しない」ではなく「失敗から学ぶ」というものです。

 中小企業では、そんなの関係ないよ。とおしかりを受けるかもしれませんが、よく考えてみてください。社長の信念はお持ちだと思いますし、従業員にも話すこともあると思います。宝石の職人さんに言われたことがあります。「ある業者が値引きを言ってきた。職人である技術の値段は値切るところとは取引できない。他あたってくれ。」これも一つの文化だと思います。職人にはプレッシャーがかかりますが技術を高める努力を怠らずその技術に対するフィーはきちんといただく。といったことが凝縮された発言でしょう。
 今でこそ大企業でも、最初は中小企業です。中企業、大企業に成長するにしたがってそのポジションに必要なものが加わってくるのは、周知の事実です。しかし、企業文化は比較的早い段階で醸成されていきます。そういった意味でも、現在、中小企業であっても企業文化あるいは社長の信念は、内外部へのアナウンスをすることによって今後成長していく過程で同じ思いを持った優秀な人材が集まり、より成長を加速させることができると考えます。


今月のアプリケーション

「obsidian」ローカル保存のノートアプリです。クリッピングしておけば、整理しておけます。基本無料で使用できます。 https://obsidian.md/

2025年度 補助金一覧

2025年度 補助金一覧

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