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TFGニュース 2026年7月号

中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
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2026年7月号 No.419
経営のお役立ち情報

Ⅰ消費税で損しない基本

― 帳簿及び請求書の保存要件を満たしていますか ―
 高齢化社会への対応や所得税・法人税に偏った税体系のバランスを見直すことを目的に1989年(平成元年)4月1日竹下登内閣の時に消費税が導入されました。当初の税率は3%でしたが、1997年(平成9年)に5%、2014年4月(平成26年)に8%、2019年10月(令和1年)に10%(軽減税率8%と複数税率)となりました。消費税の税収は、消費税が導入された1989年度は約3.3兆円、5%に引き上げられた1997年度は約9.3兆円、8%となった2014年度は約16.2兆円、10%となった2019年度は約18.4兆円となり、2026年度の消費税による税収は約26.6兆円と想定されています。これは、国の一般会計における予算83.7兆円の31.7%となり、日本の重要な税収となっています。
 この、消費税の計算方法を大まかに申し上げると、「売上に係る消費税」から「仕入で支払った消費税」を引いたものとなります。消費税の課税方式には「本則課税制度」と「簡易課税制度」があります。「仕入で支払った消費税」について実際の仕入にかかった消費税を用いるのが「本則課税制度」です。また、実際の仕入にかかった消費税を計算せずに業種ごとに決められた「みなし仕入率」を売上高に掛けたものを用いるのが「簡易課税制度」です。
 実際の仕入れについて「簡易課税制度」では関係ありませんが、「本則課税制度」では正にその金額となります。しかし、それは「仕入税額控除」の適用の要件を満たしている場合であって、満たしていなければ、「売上に含まれる消費税」から「仕入で支払った消費税」を引くことができず、極端な話ですが売上の10%を消費税として納付しなければならなくなります。

■ 「仕入税額控除」の適用の要件

 「仕入税額控除」の適用を満たすには、法定事項が記載された帳簿および請求書等の保存をしなければなりません。この請求書等には、適格請求書、適格簡易請求書は勿論、仕入明細書等やそれらの電磁的記録が含まれます。
 消費税が導入された当初の要件は「帳簿又は請求書」であったのが、1997年(平成9年)には「帳簿及び請求書」、つまり両方の保存が要件とされました。

■ 法定事項が記載された帳簿とは

仕入税額控除の要件となる帳簿への記載事項は、以下の通りとなります。
1.課税仕入れの相手方の氏名または名称(原則として正式名称)
2.課税仕入れを行った年月日
3.課税仕入れに係る資産または役務の内容
 (その課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合、資産の内容および軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
4.課税仕入れに係る支払対価の額(消費税込み金額)

■ 請求書等の記載事項とは

仕入税額控除の要件となる請求書等は、以下の通りとなります。
1.適格請求書の場合(紙面の都合上簡易適格請求書等の場合を省略させて頂きます)
(1)適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
(2)課税資産の譲渡等を行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
(3)課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(その課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、その資産の内容および軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
(4)課税資産の譲渡等に係る税抜価額または税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額および適用税率
(5)消費税額等
(6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

■ 「仕入税額控除」に係る帳簿及び請求書等の記載事項の特例

 消費税法基本通達11-6-1で「仕入税額控除」の要件を満たす帳簿及び請求書等の記載事項について以下の通りであっても差し支えないとされています。
1.帳簿に記載すべき事項
(1)相手方の氏名又は名称を取引先コード等の記号、番号等による表示
(2)課税仕入れかどうかの判別が明らかである場合は課税仕入れの内容を商品コード等による表示
2.請求書等に記載すべき事項
(1)作成者の氏名又は名称及びに書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称を取引先コード等の記号、番号等による表示
(2)課税仕入れかどうかの判別が明らかである場合は課税仕入れの内容を商品コード等による表示
 ※ 取引の相手方との間で、表示される記号、番号等の内容が明らかであるものに限る
 
「仕入税額控除」の要件を満たしていないと、多大な納税額が発生する他、加算税等も発生し会社経営そのものが成り立たなくなる危険性をはらんでいることにご注意ください。

Ⅱ特例承継計画等の提出期限の延長

― 事業承継税制の特例措置等は、まだ間に合います! ―
 現在の日本はご承知の通り、高齢化社会と人口減少社会が大きな問題となっています。そしてこれらのことから中小企業・小規模事業者は後継者不足が深刻となっており、後継者が決まらないことで事業を畳むケースが増加しています。2014年には380万社あった中小企業が、2021年には336万社に減少しています。このような状況を受けて、事業承継を円滑に進めるための支援策が求められて事業承継税制が創設されましたが、従来の事業承継税制では贈与税や相続税の負担が大きく、後継者が事業を引き継ぐ際に多額の税金を支払う必要がありました。そこで非上場会社株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度について、平成30(2018)年から10年の期間限定でより使い勝手が良い法人版事業承継税制の特例措置が創設されました。また。個人事業者についても円滑な事業承継を促進するため、平成31(2019)年から10年間の期限限定で特定の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度である個人版事業承継税制が創設されました。なお、特定の事業資産とは、400㎡までの宅地、床面積800㎡までの建物、これら以外の減価償却資産で固定資産税の課税対象とされているもの、自動車税・軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるもの、その他一定のもの(一定の貨物運送用及び乗用自動車、乳牛・果樹等の生物、特許権等の無形固定資産)などです。
 この特例措置の創設により、法人版事業承継税制の適用件数は急増しましたが、令和2(2020)年から令和4(2022)年の特例承継計画の申請件数はコロナ禍の影響で減少しました。また、令和5(2023)年度は特例承継計画の提出期限の延長前により、駆け込み需要等で増加しましたが、その反動で2024年度の申請件数が減少しました。一方、経営者年齢のピークの人数割合は、平成30(2018)年創設当時は60代後半でありましたが、令和6(2024)年には50台後半になり、一定程度の事業承継は進展していることが示唆されています。しかし、物価高やトランプ関税等の不透明な経営環境下で制度の期限まで手続きや後継者育成が完了することなく、未だ事業承継が必要となる70代以上の事業者が多く存在しています。さらに、今後承継が本格的に必要となる60代の層も多く存在しています。
 このような状況等を踏まえて適用期限が到来するまで、本制度を最大限に活用できるように、法人版事業承継税制の特例措置、個人版事業承継税制の承継計画の申請期限の延長が図られるようになりました。

■ 特例承継計画等の提出期限の延長

 ところで事業承継税制の税務申告までの手続きの流れですが、法人版特例措置及び個人版ともに同じであります。それは次の通りです。
① 承継計画を作成し、申請する。② 事業承継(贈与又は相続)を実施する。
③ 税務申告期限の2か月前までに認定申請をし、認定を受ける。④  税務申告を行う。
 ①と③は都道府県で、④は税務署が所管官庁となっております。また、①と②は期限が定められており、②の期限が本制度の適用期限になります。その期限ですが、①については法人版特例措置及び個人版ともには令和8(2026)年3月31日までです。②については、法人版特例措置は令和9年(2027)年12月31日まで、個人版は令和10(2028)年12月31日です。こうなると①は当年の3月31日に期限が到来しています。そこで、令和8年度税制改正では法人版特例措置と個人版の適用期限が到来するまでの間、制度の恩恵を最大限利用できるように①の期限を延長しました。法人版特例措置は令和9(2027)年9月30日までと1年6か月延長されました。また、個人版は令和10(2028)年9月30日までと2年6ヶ月延長されました。
 ところで、承継計画に記載する内容ですが、何を記載するかは大体次の通りです。いつ株式、事業用資産を承継するかという承継時期の目安、後継者の氏名・役職・育成方針、承継前後5年間程度の売上・雇用・投資などの事業計画、経営上の課題とその対応方針、金融機関・取引先・従業員などとの関係維持の方針、などを記載することになります。この承継計画を作成するメリットしては、経営者と後継者が事業の将来像を共有できるとか、金融機関や取引先への説明資料として活用できるとか、承継スケジュールと課題が整理されてトラブル防止に役立つとか、などです。税制適用の要件を満たすだけではなく、経営そのものに活用できるということです。承継計画の作成はそれなりに意義があるものとご理解頂けると思います。なお、適用期限の延長はありませんので注意してください。

■ 後継者の要件には注意してください!

 この事業承継税制において注意して頂きことの1つに後継者の要件があります、誰でもいいということではありませんので注意してください。詳細は紙面の都合で割愛致しますが、大まかなことは次の通りです。
 法人版特例措置の後継者の要件は、贈与の時において会社の代表権を有していること(相続の場合は相続開始から5か月以内に代表者になること)、贈与の日において18歳以上であること、贈与の直前において役員であること、贈与の時において後継者と後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の株式を保有すること、などです。一方、個人版では、経営承継円滑化法に基づき都道府県知事の後継者としての認定を受けていること、先代が青色申告を営んでいた一定事業(不動産貸付等を除く)の後継者であること、先代個人事業主からその事業に係る特定事業用資産の全部を贈与・相続等により取得すること、などです。
 
 
 特例承継計画等の提出期限は延長されましたので本制度の利用は、まだ間に合うことになりましたが、適用期限は延長されませんので、適用を受けることを考えておられる場合は、早めに承継計画の策定に着手されたほうがよいと思われます。また、本制度以外にも特に後継者になる方の目途が立たない場合には、M&Aなどの第三者承継の手段もありますので事業承継をあきらめずにお考えいただければいかがでしょうか。

Ⅲ 数字に弱い経営者の克服法

― 数学では計算した答えは1つ、経営上は・・・―
 文系出身者の経営者は統計によると約75%です。文系出身の多くの経営者は数字に強いのでしょうか?もともと数学が嫌いで文系に行ったのに、経営の数字を見ると頭が痛くなってくる。という方はいらっしゃらないでしょうか。逆に数字が得意な方はそのような経験はなく、なんで?と疑問符が浮かびます。
今回は数字が嫌だ、怖い、苦手といった方は最後までお読みください。そういった感情が少し薄まります。

■大人になってからこそ「数字が苦手」

 考えている以上に数字が苦手な大人が多いです。数字そのものを使いこなす機会は少ないですが数字の怖さはずっと向き合い続けなければなりません。しかも合理的な判断を下すには数字がなければ難しいものです。

■そもそもなぜ「数字が苦手」

 子供のころに最初のきっかけがあります。
 ・授業で先生が言っていることがわからず、算数や数学が嫌いになった。
 ・親にできないことで怒られ、「自分は数字が駄目だ」と思い込んだ。
 ・テストで答えが「1」違うと即×で、「正確に解く」ことへのプレッシャーから嫌いになる。
  このような経験をつい重ねることによって「数字=苦手、嫌い」というイメージが刷り込まれてしまいます。特に勉強では出てこないような大きな数字が出てきたときに、拒絶反応のようなものが出てしまうなどはよくあることです。正確に1桁まで行うとすれば頭の痛い人が多いでしょう。

■端数処理

 理系諸氏には理解できないでしょうが、文系諸氏には大きく貢献します。状況に応じて活用すれば大きく見誤ることもないし一番は文系諸氏がなじみやすい考え方です。状況と方法を見てみましょう。
1.四捨五入(バランス型)
 4以下は切り捨て、5以上は切り上げ。
それなりに正確でざっくりと数字はつかめます。
2.切り捨て(最速で見たいとき)
 指定した桁以下を全部「0」にして切り捨てる
時に大きくズレますので注意が必要です。
ただし一瞬で数字は見えます。
3.切り上げ(大きい値にまとめたいとき)
 指定した桁以下を一律繰り上げますので元の数より大きくなります。
これも、時に大きくズレますので注意が必要です。
予算の見積もりには有効でしょう。
  
「それくらい知っているよ」という方も大勢いらっしゃいますが、実は大人になるまでにこの四捨五入の方法は、具体的に実践で学んだことが一度もないはずです。数字に強い人はごく自然に使いこなしているのです。苦手な人は使っていない。もしくは使っていたとしても、誤差を容認できないので使わないという意識になります。

■正確性の価値観

 見積書、請求書、領収書となれば正確性が信用につながります。ですが、ビジネスや日常生活ではおおむねあっていれば大丈夫という場面が多くみられると思います。ここで大切なのは、多少のズレは容認するマインドです。ここを割り切るだけで、数字への苦手意識はかなり和らぐはずです。

■会計伝票の起票

 数字は慣れるものです。経営者であれば伝票の起票をやってみてください。ワタミの創業社長渡邊美樹氏は会計事務所で勉強してから創業したことは有名です。そこまでは必要ないかと思いますが、会計伝票を起票することにより試算表にどういう影響を及ぼすのかがわかります。また、無駄な経費を使っていることもわかります。そして必要なものが不足していることもわかります。最後に最も大事なのが伝票起票することによって決算書の意味が分かります。

■予算の確実性の向上

 社長一人であれば、1か月これだけ稼働すれば、これぐらいの売り上げが上がる。という予想が長年事業をしていると概算でわかるようになっているはずです。(わからなければ、起票することによってイメージできるようになります)実際ふたを開けてみれば、あれっということはありませんか。この誤差が起票することによって縮められます。
 
 概算と実算を使い分けることによって苦手意識は小さくできます。そして、起票などを行うことによってさらに数字の苦手意識は薄れることと思います。また「,」を使うようにしましょう。慣れてくれば「,」を使うことによって視覚的に数字の大きさがわかりやすくなります。そしてどこで端数処理をすればこの数字は分かりやすくなるのか、どの処理が適しているのかが判断しやすくなります。
 
 数字というものは、日常生活でもビジネスでも欠かせないものです。それを判断の材料にできるかどうかは、大きく変わるものです。逃げられない以上飼いならす必要があります。自分なりの「ものさし」を作ることによって数字の苦手意識はさらに薄まることでしょう。また判断もしやすくなります。目を背けないで気楽に数字を見られることで知らぬ間に訓練されてより正確なアプローチができるようになります。年配の方は「今更」とは思わずに、一度チャレンジしてください。若い方は、今のうちに数字の苦手意識は払しょくされることをお勧めします。必ず将来、あの時やってよかったと思っていただけると確信しています。スタートアップの社長には、必ず起票を最低6か月するようにお話しています。6か月の間に必ず気づきがあります。

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