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TFGニュース 2026年3月号

中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
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2026年3月号 No.415
経営のお役立ち情報

Ⅰインボイス制度の見直し案について

― 令和8年度税制改正大綱より ―
 令和7年10月21日に誕生した高市政権でありますが、本年1月23日に衆議院が解散されて2月8日にその投票があり、結果は皆様のご承知の通り、自民党が圧勝しました。この選挙の影響で懸念されていた予算成立ですが現状においては年度内、つまり3月31日成立を目指している様子です。そうなれば、令和8年度の税制改正も可決通過が見込まれるでしょうが、少々不明ではあります。
 さて、令和8年度税制改正でありますが、その大綱では投資により生産性が向上し、その果実が分配されることで国民が豊かになり、それが更に新たな投資につながる好循環を実現していくことが求められていることを踏まえて考えられたものとなっており、「危機管理投資」、「成長投資」による力強い経済成長の実現に向けて「税制を通じて何を達成すべきか」という問いに答えていこうとしています。具体的には、物価高を超える賃上げの実現に向けて賃上げ促進税制を中小企業に特化した形に見直す、「強い経済」を実現するために、大胆な設備投資促進税制の創設、つみたてNISA拡充の一環として、国内市場を対象とした一定の株式指数の追加、「世界で輝く日本」の実現に向けて研究開発税制で「戦略技術領域型」の創設、などです。
 そして本題のインボイス制度でありますが、消費者が支払った消費税相当分が、全て納税されることなく、事業者の手元に一部残る要因となっている「インボイス制度導入に係る経過措置」については、これまでに決定した各経過措置を含めて最終的に終了することを堅持しつつ、個人・中小事業者の対応状況等も踏まえた更なる配慮を行うために、見直しを行うとしています。制度の社会的な定着をより確実なものとする観点からの見直しです。

■ 納税額を売上税額の3割に軽減できる経過措置(3割特例)の創設

 インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者となられた法人、個人事業者の方については、現状では仕入税額控除の金額を課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額(売上高-値引き)の100分の80に相当する金額とすることができます。言い換えれば、売上税額(売上高-値引き)の2割を納税することになります。これを2割特例といいます。(令和5年10月1日以降に免税事業者からインボイス発行事業者として登録される事業者、基準期間(個人事業者の方は前々年、法人の方は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下などの条件はあります。)この2割特例ですが、令和8年9月30日までの日の属する各課税期間までとなっており、期限を迎えます。そこで今回は、免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者となられた個人事業者の方、現状の2割特例適用対象の個人事業者の方は、令和9年分、令和10年分の2年間に限り、売上税額から控除する仕入税額控除を100分の70に、つまり、売上税額(売上高-値引き)の3割を納税すればよい、3割特例が創設されます。なお、この3割特例の適用対象は個人事業者の方のみで、法人の方は適用対象外でありまので、ご注意ください。法人の方は2割特例の適用終了後は一般課税又は簡易課税の何れかの方式により申告、納税することになります。
また、3割特例を受けようとする場合には、確定申告書に2割特例と同様にその付記をすることになると思われます。

■ 免税事業者からの課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置の見直し

 本来、インボイス制度ではインボイス発行事業者でない事業者からの課税仕入れは仕入税額控除ができない制度になっています。しかし、制度導入でそれを実行すると、取引先である課税事業者から値引き交渉や取引停止の要求、インボイス発行事業者になることで消費税の納税義務が生じることによる税負担の増加、インボイスの発行や保存、経理処理の複雑化による事務負担の増加などのリスクにより、課税仕入れに係る税額控除に経過措置が設けられました。その内容は、インボイス発行事業者でない事業者からの課税仕入れの仕入税額控除を令和5年10月1日から令和8年9月30日までは80%、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%、令和11年10月1日以降は仕入税額控除ができないというものです。
 今回は、更なる激変緩和を図ること、消費者が支払った消費税相当分の一部が、納税されずに事業者の方の収入になっており、また、小規模な国内事業者の方以外からの仕入れにも適用され、租税回避行為等に利用されていることを踏まえ、その防止を図るために見直しが行われます。具体的には、令和8年10月1日から令和10年9月30日までは70%、令和10年10月1日から令和12年9月30日までは50%、令和12年10月1日から令和13年9月30日までは30%、令和13年10月1日以降は仕入税額控除ができないことに改正されます。また、1免税事業者ごとの年間適用上限仕入額を現行の10億円から1億円に引き下げられます。
 
以上、令和8年度税制改正大綱で考えられていますインボイス制度の見直し案ですが、未だ国会で通過、可決しておりません。その点、ご了承賜りますようお願い申し上げます。

Ⅱ令和8年1月施行・下請法の改正

― 振込手数料の扱いにご注意ください。 ―
 「下請代金支払遅延等防止法(通称:下請法)」が大幅に改正され、「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」に名称が変更され令和8年1月より施行されます。「下請代金支払遅延等防止法」とは、経済的に優位な立場にある事業者が、立場の弱い下請事業者(中小企業や個人事業主など)に対して、不当な「買いたたき」や「支払遅延」「返品の押し付け」などの行為をすることを防ぎ、公正な取引と下請事業者の利益を守るためのものです。今回の改正では、業種業態を問わず、全ての取引(従来の製造・修理・情報成果物作成・役務提供の4類型に限定しない)を対象とし、中小企業同士の取引も対象となりました。その他、改正点はいくつもありますが、ここでは対象取引の範囲についてどうなったのかと商慣習上よくある製造委託等代金の減額にあたる振込料相殺についてご説明させていただきます。

■ 対象取引の範囲

 この「中小受託取引適正化法」が対象とする取引内容とその対象事業者は以下の通りです。
1.物品の製造委託・修理委託・特定運送委託及び情報成果物作成委託・役務提供委託(プロブラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に限る)の対象。
(1)    委託する事業者が資本金3億円超の場合に、中小受託事業者は資本金3億円以下が対象。
(2)    委託する事業者が資本金1千万円超3億円以下の場合に、中小受託事業者は資本金1千万円以下が対象。
(3)    委託する事業者の常時使用する従業員が300人超の場合に、中小受託事業者は常時使用する従業員が300人以下が対象。
2.情報成果物作成委託・役務提供委託(プロブラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理を除く)の対象。
(1)    委託する事業者が資本金5千万円超の場合に、中小受託事業者は資本金5千万円以下が対象。
(2)    委託する事業者が資本金1千万円超5千万円以下の場合に、中小受託事業者は資本金1千万円以下が対象。
(3)    委託する事業者の常時使用する従業員が100人超の場合に、中小受託事業者は常時使用する従業員が100人以下が対象。

■ 製造委託等代金の減額

 商品・製品等を発注する際に価格を決定しますが、発注後その価格を減額することが禁止されています。
協賛金の徴収は勿論、原材料価格が下落した等名目のいかんをといません。
従来の、「下請代金支払遅延等防止法」でも、代金を預金で支払う際の振込手数料について下請代金を減額する行為として禁止されていましたが、委託事業者と下請事業者の間で書面により合意した場合は認められていました。今回の改正で、書面により合意していても振込手数料を相殺して代金を支払うことが禁止されました。令和8年1月1日以後の取引の発注より適用されます。違反した場合「公正取引委員会」から「中小受託取引適正化法」違反として「勧告」を受けることがあります。

■ 振込料相殺についての税務上の取り扱い

 消費税法でインボイス制度が導入されたことで、売主が負担した場合の振込料相当額についての税務上の取扱いは以下の通りとなっていました。
 1.振込手数料相当額を売上値引とする場合。
   振込手数料は通常1万円未満の為、売上に係る対価の返還等に対するインボイスの交付義務はありません(仕入に係るものは一定の規模以下の事業者に「少額特例」があります)が、対価の返還の為、本来の振込手数料は消費税10%ですが軽減税率8%の取引に対する値引きをした場合は軽減税率8%の売上値引となります。
 2.振込手数料相当額を売主が買主から「代金決済上の役務提供」を受けた対価とする場合。
   支払方法の指定に係る便宜を売主が受けたとして、買主から売主へ振込料相当額の売上を立てる方法です。この場合、売主が振込料相当額を仕入税額控除の対象とするには、買主よりインボイスを交付してもらい保存するか、売主が振込料相当額の仕入明細書等を作成し買主の確認を受ける必要があります。
 3.買主が売主のために金融機関に対して振込手数料を立替払したものとする場合。
   売主は、買主より振込手数料に係る金融機関より受け取ったインボイスと立替金清算書の交付を受けることで仕入税額控除ができます。但し、振込手数料は「3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる販売等」に該当するので、売主は、買主が差引いた金額が振込手数料であること及び立替払いとしてATMでの振込みであることを確認して、一定の要件下で帳簿のみの保存により仕入税額控除が可能です。
 
 振込手数料を売主が負担する場合に、事務コスト等を含めて考えると上記1を選択された方が多いのではないでしょうか。しかし、今回の「中小受託取引適正化法」により、同法が対象とする取引では、合意の有無にかかわらず売主に振込手数料相当額を負担させることが同法違反となるので、ご注意ください。

Ⅲ 空疎な会議、有効な会議

― 結論が出る会議がすべてではない―
 企業では、進むべき方向であったり、社内ルールであったり決めなければいけないことが多々あります。その際、トップダウンで決定事項が下りてくることもあれば、会議などで決めて提案していくことになります。決定権者からすれば、その提案はその提案だけではなく、提案してきた背景や過程を鑑みながら決めていくこととなります。提案書を見ればよく吟味された提案かそうでないものかは透けて見えてくるものです。

■空疎な会議

1.決められない
 時間だけが過ぎて、何も決まらない。
 原因:会議は決められた時間に集まればいいものではありません。議題、吟味資料など事前準備のないことが多くみられます。
2.会議の空転
 「この件、どう進めましょうか」
 そう問いかけられ沈黙が流れる。誰かが話し始めても、抽象的な意見が続くだけで具体的な話は出てこない。最後は「次回までに各自考えてきましょう」で終わる。こんな経験ないでしょうか。この停滞は正解が見つからないから起きているわけではありません。むしろこの原因は反対で、誰も間違えたくない。完璧な案が出てくるのを待っている。など会議の意味をなしていないのです。不確実性の高いテーマほど陥りやすいものです。
3.抽象的なテーマ・議題
 この時点ですでに参加者全員のイメージがそろわなくなります。つまりテーマや議題に対して参加者の頭の中のイメージがバラバラになっているのです。従ってOUTPUTはバラバラになります。この状態で「次回までに各自考えてきましょう」となると、次の会議もまとまりません。
4.資料をただ読み上げる
 いまだに根強くある会議です。読むだけなら資料を回せばいいが、見てない人と見ている人が出てくるため読み合わせをする。意識統一することは大切ですが資料を見ている人にとっては時間の無駄です。いかに、資料をいきわたらせるかに時間を割いたほうが有効と言えます。これは決定権者の仕組み作りが必要となります。
クラウドの掲示板に閲覧履歴が残るようにするなどの仕組みを作ることによって資料を読むだけに会議はなくすことができるようになるでしょう。

■有効な会議

1.決まらない会議でも構わない
 具体的な宿題があっての会議終了は次回に進展する可能性が高くなります。今日決まらなくても次回あるいは期限内に決められる会議は大切です。
2.会議の空転の解決策
 空転する理由は先ほど述べた通り。ではどうするか。大切なのは議論を進めるための叩き台を出すことです。これは簡単のようで勇気のいることです。批判する人も出てきますし、完璧な案はだしませんよ。と宣言することになるからです。この案をベースにどうよくできるかと考える土壌は作る必要があります。
 叩き台を出すことによって、抽象的な議論から具体的な議論へと思考が変化します。このことによって、議論が進みだします。
叩き台を出すことには、もう一つ役割があります。それは、責任の所在を明確にすることです。誰がたたき台を出すのか。いつまでに出すのか。出たらどう進めるのかを明確にしましょう。
3.議題に対する完璧な解決策はない
 こういう前提に立って議論する必要があります。誰もが完璧を目指しますがその時点では完璧でも時間経過や市場情勢などによって完璧でなくなることが多いものです。常に決定事項にも見直しをかけてブラッシュアップしていくことを前提に進めることが大切です。
4.必要な参加者の人選
 会議を混ぜ返す人は結構います。会議のファシリテーターが議論を活性化するために意識して反論を提起することはファシリテーターの力量でしょうが、論理なき反論は排除すべきでしょう。
 
 会議は、今までと比べて会議室に集まってということもせずに済み、ある意味さっとできるものになっています。だからこそ、有効な会議を実施することが大切となります。一人一人の業務範囲が広がっている企業が大半を占めていると思われますので、時間の有効活用は必須となります。無駄な会議を減らすことによって他の業務にリソースを振り分けられ、より効率的に仕事を進めることができるでしょう。

今月のアプリケーション

「HotkeyP」
ショーカットキーを作成するソフトです。マウスに頼らずよく使う操作はワンタッチ化できます。                  https://sourceforge.net/projects/hotkeyp/files/

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