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TFGニュース 2026年2月号

中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
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2026年2月号 No.414
経営のお役立ち情報

Ⅰ令和8年度税制改正大綱の全体像

― 中小企業・個人事業者にとって押さえておきたいポイント ―
 令和8年度税制改正大綱が公表され、今後の税制の方向性が示されました。税制改正大綱というと、「自分の会社や事業にどのような影響があるのか」「結局、何をすればよいのか」が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。税制改正大綱は、すぐに税額が変わる話だけをまとめたものではありません。むしろ、国がどのような経済や社会を目指しているのか、その方向性を示した設計図のような位置づけといえます。本稿では、令和8年度税制改正大綱の全体像を中小企業や個人事業者の視点から整理し、今後の経営判断や事業運営にどのように向き合っていけばよいのかを考えてみたいと思います。

■税制改正大綱から見える大きな流れ

 今回の税制改正大綱で繰り返し強調されているのが、「持続的な賃上げ」「人への投資」「成長につながる投資の促進」です。物価上昇が続く中、企業の収益が賃金や人材育成に十分に回っていないという問題意識が背景にあります。
国としては、単に税負担を軽くするのではなく、企業や事業者が前向きな行動を取ることで経済全体が活性化していくことを期待しています。税制は、その行動を後押しするための手段として位置づけられているのです。
 また、少子高齢化や人口減少が進むことを前提に、短期的な対症療法ではなく、中長期的に持続可能な経済構造を目指す姿勢も明確です。税制改正大綱を読む際には、「今年どうなるか」だけでなく、「これからどの方向に進もうとしているのか」を意識することが重要といえるでしょう。

■中小企業に関係する法人税分野のポイント

 中小企業の経営者にとって特に関心が高いのが、法人税分野における各種優遇措置の動向です。令和8年度税制改正大綱でも、賃上げを行う企業を支援する制度が引き続き重要な位置を占めています。
人手不足が深刻化する中、賃上げや人材確保は避けて通れない課題です。一方で、「賃上げはしたいが、経営への影響が心配」「制度が複雑で自社が対象になるのか分からない」と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
 こうした制度は、内容を正しく理解し、計画的に活用することで初めて効果を発揮します。賃上げのタイミングや対象となる従業員の範囲、比較の基準となる数字など、事前に整理しておくべき点は少なくありません。税制改正大綱をきっかけに、賃上げや人材投資を「行き当たりばったり」ではなく、経営計画の一部として考えていくことが重要です。
 また、設備投資に関する税制措置についても、延長や見直しが行われています。設備投資は事業の成長に直結する一方で、資金負担も大きくなりがちです。税制の後押しをどのように活用できるのかを早めに検討することで、選択肢が広がる可能性があります。

■個人事業者・フリーランスを取り巻く環境

 個人事業者やフリーランスに関しては、今回の税制改正大綱で大きな制度変更が行われるわけではありません。しかし、副業や業務委託といった働き方が広がる中で、所得の把握や課税の公平性を重視する姿勢は引き続き強まっています。
特に、インボイス制度導入後の消費税については、「今後どうなるのか」「このまま免税事業者でいてよいのか」といった不安の声も多く聞かれます。税制改正大綱からは、制度の定着を図りつつ、実務上の混乱を抑えようとする意図が読み取れます。
 重要なのは、「すぐに結論を出さなければならない」と焦るのではなく、自身の事業規模や取引先との関係、将来の事業展開を踏まえて判断することです。制度の趣旨や今後の方向性を理解したうえで、自分にとって最適な選択を考える姿勢が求められます。

■税制改正をどう経営に活かすか

 税制改正大綱は、単なる制度変更のお知らせではありません。経営者や事業者に対して、「これからどのような行動を取ってほしいのか」というメッセージが込められています。
 賃上げや設備投資、人材育成といった取り組みは、短期間で判断できるものではありません。だからこそ、日頃から自社の状況を整理し、将来を見据えた計画を立てることが重要になります。税制についても、「決算直前に考えるもの」ではなく、経営の流れの中で捉えていく視点が求められます。
 TFGとしては、こうした税制の動きを分かりやすく整理し、お客様それぞれの状況に応じて、どのような選択肢があるのかを一緒に考えていくことが役割だと考えています。

■最後に

 令和8年度税制改正大綱は、目新しい制度変更が目立つ内容ではありませんが、その背景には、賃上げを軸とした経済構造の転換や強い経済、活力ある地方、中小企業への後押し、人口減少社会や物価上昇局面での対応、個人消費促進への対応などを前提とした持続可能な社会づくりという様々な視点からのテーマがあります。
 税制の動きを正しく理解し、自社や自身の事業にどう向き合っていくかを考えることが、これからの経営にとってますます重要になります。TFGとしても、制度の解説にとどまらず、お客様の立場に寄り添いながら、将来を見据えたサポートを続けていきたいと考えています。

Ⅱ中小企業投資促進税制とは

―制度の概要と注意点―
 中小企業投資促進税制とは青色申告書を提出する企業や個人事業主で一定の要件を満たしたものが機械装置等の取得等を行った場合に、取得費用の30%相当の特別償却か7%の税額控除を選択して適用できる制度です。
その制度の概要と注意点をみていきます。

■中小企業投資促進税制の概要

 中小企業投資促進税制の概要は以下のとおりです。

対象者
・中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等)
 ・従業員数1,000人以下の個人事業主
対象業種
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業
 (※)性風俗関連特殊営業に該当するものは除く
対象設備
・機械及び装置・・・1台の取得価額が160万円以上
 ・測定工具及び検査工具・・・1台の取得価額が120万円以上、1台の取得価額が30
 万円以上かつその年度の取得価額の合計額が計120万円以上
 ・一定のソフトウェア・・・一のソフトウェアの取得価額が70万円以上、その年度の
 取得価額の合計額が70万円以上のもの
 ただし、複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く
・貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)
・内航船舶(取得価格の75%が対象)
措置内容
・個人事業主及び資本金3,000万円以下の中小企業の場合30%特別償却または7%税額控除(税額控除は当期の法人税額の20%が上限)
・資本金3,000万円超の中小企業の場合30%特別償却

■中小企業投資促進税制の改正

 令和7年3月31日までとなっていた適用期間が2年間延長され、令和9年3月31日までとされました。

■中小企業投資促進税制の注意点

1.特別償却と税額控除の併用不可
 ひとつの資産について特別償却と特別控除を併用することはできません。
2.他の制度の特別償却と税額控除の併用不可
 中小企業投資促進税制の適用を受ける資産については、租税特別措置法の規定による圧縮記帳等の特別償却や特別控除との併用はできません。
3.期限や内容の変更に注意
 この制度は度々の期間延長や内容の変更があったため、税制改正で変更がないか、その都度注意が必要です。

Ⅲ 感動を生む企業へ

― AIに感動はない―
 近年、AI(人工知能)の急速な発展により、企業活動の在り方は大きく変化しています。需要予測、顧客対応、マーケティング分析など多くの分野において、AIは人間を補完、あるいは代替する存在となり、企業の効率性と生産性を大きく向上させてきました。 
 一方で、企業の価値が単なる効率性や合理性のみで評価される時代は終わりつつあります。現代社会において企業には、機能的価値を超え、人々の心に訴えかける「感動」を生み出す存在であることが求められるようになりました。
 今回は、AI倫理およびサービス価値論の視点を踏まえ、「AIに感動はない」という命題を出発点として、感動を生む企業の条件について考えてみることにいたします。

■感動の概念

1.感動の定義
 感動とは、商品やサービスの機能的満足を超え、利用者の感情や価値観に強く作用し、記憶に残 る体験のことです。
2.サービス価値論から見た感動
 サービス価値論、特にサービス・ドミナント・ロジックでは、価値は企業から顧客へ一方的に提供されるものではなく、両者の相互作用の中で共創されるとされています。この考え方に基づけば、感動とは顧客がサービス体験を通じて主体的に意味や価値を見出した結果として生じる現象といえます。

■AIの特性と限界

1.AIの気泡的優位性
 AIは大量のデータを学習し、統計的・確率的に最適とされる判断を行う技術であり、定型業務や数値化可能な判断領域において高い有効性を発揮します。
2.AI倫理における位置づけ
 AI倫理の分野では、AIは道徳的主体にはなり得ず、最終的な責任は常に人間に帰属するとされています。
3.AIと感動の関係
 AIは感情表現や共感的応答を模倣することは可能であるが、それは過去のデータに基づく反応に過ぎない。そのため、AIは感動を分析・再現することはできても、主体的に感動を生み出す存在ではありません。

■感動を生む企業の条件

1.価値共創としての企業活動
 感動を生む企業とは、顧客を単なる消費者やデータの集合としてではなく、価値共創の主体として捉える企業であります。
2.使用時価値と感動
 サービス価値論では、価値は使用時価値(value in use)として定義され、顧客の体験の中で初めて成立するとされています。
3.人間的判断の重要性
 想定外のトラブルに対する誠実で柔軟な対応や、短期的利益よりも信頼関係を優先する判断は、数値的最適解では説明しきれない価値を創出し、感動へとつながります。
 さらに、感動を生む企業においては、企業内部の従業員体験も重要な要素となります。従業員が企業の理念や価値観に共感し、自らの仕事に意味を見出している場合、その姿勢は顧客との接点に自然と表れます。サービス価値論においても、価値共創は顧客との関係だけでなく、組織内部の関係性によって支えられると考えられています。AIによる業務効率化が進む中であっても、従業員の判断や感情を尊重し、人間らしい働き方を可能にする組織設計は、結果として顧客に感動をもたらす基盤となります。この点からも、感動は企業文化と深く結びついた価値であるといえるでしょう。
 

■AI活用と人間中心の経営

1.AIは目的ではなく手段
 AIの導入そのものが企業価値を高めるわけではなく、AIはあくまで人間の判断を補助する手段として位置づけられるべきでしょう。
2.人間中心のAI
 AI倫理において重視される人間中心のAI(Human-Centered AI)は、人間の尊厳や価値を損なわない形でAIを活用する姿勢を指します。

■課題

1.AIと感動の再検討
 近年では、対話型AIや感情推定技術の発展により、利用者がAIとのやり取りに情緒的価値を見出す事例も見られます。これらが真の感動といえるのかについては、さらなる理論的・実証的検討が必要でしょう。
2.企業実務への課題
 企業において、人間中心の価値をどのように組織文化や評価制度に組み込むかという点も、今後の重要な課題となります。
 
 AIに感動はない。しかしそれは、企業活動から感動が失われることを意味することではありません。むしろAI時代において、感動は人間にしか生み出せない価値としてより明確になったのではないでしょうか。企業が感動を生む存在であり続けるためには、AI倫理とサービス価値論の視点を踏まえ、人間中心の価値共創を経営の中核に据えることが不可欠であるといえます。


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