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TFGニュース 2025年11月号

中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
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2025年11月号 No.411
経営のお役立ち情報

Ⅰ令和7年分の年末調整の注意点について

― 基礎控除の見直し等に注意が必要です! ―
 令和7年も来月は12月と年の瀬を迎えますが、年の瀬は年末調整の準備又は実施する時期になります。令和7年分の年末調整は前年までとは少々改正点があります。これはご存知の通り、「年収103万円の壁」が引き上げられたことです。
 「年収103万円の壁」とは、ある方の収入が給与のみの場合、給与収入が年収103万円を超えると所得税が課される基準のことをいいます。令和6年までは合計所得金額が48万円までの場合は、課税所得金額は0円になります。所得税は課税所得金額に対して税率を乗じて求められるからです。給与収入のみの場合の合計所得金額は「給与収入―給与所得控除額」で、課税所得金額は「合計所得金額―所得控除額」であります。従いまして、給与収入が103万円の場合の給与所得控除額は55万円なので合計所得金額は48万円、社会保険料控除や生命保険料控除等の所得控除額が何もないと所得控除額は基礎控除48万円のみとなりますので課税所得金額は0円になるという仕組みです。
 「年収103万円の壁」は、パートやアルバイトで働く方々にとって大きな制限、とくに主婦や学生の方など扶養の範囲で働く層には深刻で、「稼ぎすぎると損をする!?」という意識が就労抑制につながっていました。しかし、近年の人手不足に加えて物価上昇や最低賃金の引き上げでよりはやく年収103万円に到達し、その深刻さはさらに大きくなりました。このような背景を踏まえて政府は就労意欲の維持向上のため、控除額の引き上げや新たな制度導入を決定し、令和7年分の年末調整に反映させました。以下、令和7年分の年末調整の主な改正点について3点記載します。

■ 基礎控除、給与所得控除の見直し

 これは「年収103万円の壁」対策として、基礎控除と給与所得控除の見直しを行います。これにより年末調整時に減税が実施されます。特に、年収が低い層について働き控え対策として「年収103万円の壁」が「年収160万円の壁」となり、年収160万円まで所得税はかかりません。
基礎控除は、令和6年まで合計所得金額が2,350万円以下(給与のみの収入で2,545万円以下)までで45万円であったのが5段階へ変更されて、控除額が最大で合計所得金額が132万円以下(給与のみの収入で200万3,999円以下)で95万円になります。
給与所得控除は、令和6年まで給与等の収入金額が162.5万円以下で65万円、162.5万円超180万円以下で給与等の収入金額×40%―10万円、180万円超190万円以下で給与等の収入金額×30%+8万円であったのが、190万円以下までは65万円になります。
 以上でお分かりかと思いますが、基礎控除95万円と給与所得控除65万円の合計160万円までの年収には所得税はかからないということです。

■ 配偶者など扶養親族の所得要件の見直し

 配偶者特別控除や扶養親族に関する所得要件の見直しが行われています。紙面の都合上、令和7年分以降の変更分のみ記載します。
 同一生計配偶者、扶養親族、ひとり親の生計を一にする子などに関する控除要件は、合計所得金額が58万円以下(給与のみの収入で123万円以下)配偶者特別控除の対象となる配偶者に関する控除要件は、合計所得金額が58万円超133万円以下(給与のみの収入で123万円超201万5,999円以下)勤労学生に関する控除要件は、合計所得金額が85万円以下(給与のみの収入で150万円以下)となります。

■ 特定親族特別控除の創設

 大学生年代の子などについて、扶養対象扶養親族としての所得要件を超えた場合にも、一定の所得控除を受けられる仕組みが導入されます。これを特定親族特別控除といいます。この制度における特定親族とは、所得者本人と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(配偶者や青色事業専従者等を除きます。)で、合計所得金額が58万円超123万円以下の方です。
  特定親族特別控除額は、特定親族の合計所得金額で控除額が決められており、9段階に分かれています。58万円超85万円以下で63万円、85万円超90万円以下で61万円、90万円超95万円以下で51万円、95万円超100万円以下で41万円、100万円超105万以下で31万円、105万円超110万円以下で21万円、110万円超115万円以下で11万円、115万円超120万円以下で6万円、120万円超123万円以下で3万円、となっています。
 
 この改正で所得税の「年収の壁」が変更となり、従業員の年収が増えることが予想されますが、年収増により社会保険の加入義務が生じることも予想されます。これを「社会保険の年収の壁」といいます。従業員が50人以下の事業所で、配偶者の収入が130万円超になると社会保険の加入義務が生じます。年齢19歳以上23歳未満の方は年収が150万円以上(令和7年10月1日以降、それまでは130万円以上)になると社会保険の加入義務が生じます。さらに、住民税ついても「住民税の壁」が110万円(改正前は100万円)を超えると存在します。なお、「年収の壁」問題については新聞報道等にあるようにさらに178万円まで引き上げる議論もあり予断を許しません。

Ⅱ贈与税の基礎控除110万円

― 課税方式により違ってきます ―
 みなさんも時折耳にする税金として贈与税があるかと思います。この贈与税は個人が個人より贈与により財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税金です。贈与税の課税方式として暦年課税制度と相続時精算課税制度があります。令和6年分の確定申告では、暦年課税で申告された方は約40万人(対前年比14.0%減)で、その申告納税額は 3,274 億円(対前年比9.7%増)です。また、相続時精算課税で申告された方は約 8万人(対前年比59.2%増・暦年課税と併用された方を含む)で、その申告納税額は661 億円(対前年比17.5%増)です。この令和6年分の申告で相続時精算課税を選択された方が59.2%も増えたという数字にびっくりします。相続時精算課税といえば、相続時に再度、税金を精算するので土地や株等の財産の価格が将来あがるのであれば得だが、価格が下がれば多く税金を払って損をするというリスクを伴うものです。しかし、令和6年度税制改正により相続時精算課税でも暦年課税と同様に基礎控除110万円が使えるようになりました。これが相続時精算課税を選択する方が増えた原因といえます。同じ金額でしかないのに110万円控除を使えるからといって、暦年課税より相続時精算課税を選ぶようになられたのかを生前贈与の視点でスタンダードにこの2つの制度を整理した上で、御説明させていただきます。

■ 暦年課税

 贈与税は個人から個人に対して贈与により財産を取得した場合に係る税金です。法人からの贈与であれば所得税の一時所得となります。
生前贈与の視点に絞れば暦年課税による贈与税額は、その年にもらった贈与財産の合計額から基礎控除110万円を控除して贈与税の税率(累進課税)を掛けた額となります。
勿論、直系尊属からの贈与であれば、条件を満たせば「直系尊属からの住宅取得等控除の贈与の特例」を適用できますが、相続時精算課税でも同じく適用があるのでこういった点はここでは省略します。
暦年贈与について、令和6年1月1日以降の贈与は「生前贈与加算」が適用されます。これは、相続の開始前7年以内に被相続人から贈与により財産を取得した場合、その相続税の課税価格にその贈与財産を加算するものです。経過措置として、7年間の加算対象期間が、贈与者の相続開始日が令和6年1月1日より令和8年12月31日の間であれば相続開始前3年間、令和9年1月1日より令和12年12月31日の間であれば令和6年1月1日より相続開始日の期間となります。
加算する贈与財産の価格は、基礎控除110万円を控除する前の金額です。つまり、贈与した価格が100万円で基礎控除110万円を控除して贈与税額はゼロになっても、相続税の計算でこの100万円を加算して100万円分に対する相続税を納付することになる可能性があります。但し、相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合、加算する贈与の価格について、相続開始前3年以内以外の分についてはその合計の内100万円までは加算しません。

■ 相続時精算課税

 贈与を受ける側の人が暦年課税のかわりに選択することで適用されるもので、贈与時にいったん贈与税を納付して贈与をされた方が亡くなられた時にその贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算し、相続税額からすでに納付したこの贈与税額を控除して税金を納める制度です。贈与をした財産の相続時の評価額は贈与時点の価格なのでこれから値上がりする株式や土地をこの制度を使うことで納税額を少なくする効果があります。しかし、相続時点で評価額が下がっていれば逆に納税額が多くなってしまいます。
適用対象者は、贈与をした年の1月1日で、贈与をする人は60歳以上の父母又は祖父母。贈与を受ける人は18歳以上の推定相続人及び孫である直系卑属です。贈与をする人ごとに暦年課税との選択ができるので、お父さんからの贈与は暦年課税、お母さんからの贈与は相続税時精算課税とすることもできます。但し、一旦、相続時精算課税を選択した人の分はその年以後暦年課税を適用できません。
贈与税の税率は20%で以下の計算式で求めた金額にかけます。
  贈与者ごとの課税価格 - 基礎控除110万円 - 贈与者ごとの特別控除2,500万円
    ※基礎控除110万円は令和6年1月1日以後の贈与から適用されます。
    ※2,500万円の控除は前年以前に控除した金額があるときはその残額になります。
 

■ 相続があった時の110万円の基礎控除はどうなるのか。

 暦年贈与であれば、贈与税の計算上、基礎控除110万円が控除されます。しかし、前述の「生前贈与加算」の対象となれば、相続税を計算する上で110万円の基礎控除分がなかったことになります(例外分を除く)。しかし、相続時精算課税では110万円の基礎控除をこえる部分の各年分の合計を相続財産に加算するので、110万円の基礎控除の効果が残るので、基礎控除の有効活用という点で優れています。
 しかし、相続時精算課税は贈与時と相続時で価格が減少した場合のリスクの他に自宅や事業用の土地を
対象とした場合に小規模宅地の特例が使えなくなるといったリスクもあります。

Ⅲ BCP(事業継続計画)の再確認

-不測の事態に対応できるようにしていますか-
 BCPとは企業が自然災害やシステム障害、テロ攻撃などの緊急事態に直面した際に、重要な業務を継続し、早期に復旧させるための計画です。最近ではアサヒビールやアスクルへのサイバー攻撃、熊の生活圏への出没など企業活動を妨げる事象が多く報道されています。この状況で企業としての初動対応や、従業員の安全確保、重要データのバックアップ代替拠点の確保など、具体的な危機管理手順は整っているでしょうか?事業停止などによる損害や信用失墜を最小限に抑えなければなりません。

■BCPの定義

 定  義:BCP(Business Continuity Plan)とは、企業が自然災害や事故、サイバー攻撃、感染症などの緊急事態に重要な業務を継続し、早期に復旧させるための計画を指します。
 目  的:単なる危機管理ではなく、事業を止めない、または迅速に再開すること

■BCPの重要性

 現代の企業は様々なリスクにさらされています。特に、次のような危機が発生すると、事業の存続そのものが危ぶまれる可能性があります。
1.自然災害
  地震・台風・洪水など予期せぬ事態が発生した場合
2.感染症の流行
  COVID-19のようなパンデミックやインフルエンザなど従来からある感染症の流行の場合
3.サイバー攻撃
  情報漏洩やシステム障害が起こった場合
4.テロや事故
  予測不能な人的被害が起こった場合
5.サプライチェーンの分断
  取引先の倒産や物流の停止になった場合

■BCPの策定手順とポイント

1.リスク分析と影響評価(BIA:Business Impacy Analysis)
  まず、企業業務のプロセスを洗い出し、どの業務が事業継続に不可欠化を評価します。この際、次ページのポイントを明確にすることが重要です。
  ・事業停止が及ぼす影響(売上減少、顧客離れ、法的問題など)
  ・業務復旧までの目標時間(RTO:Recovery Time Objective) 
  ・許容できるデータ損失の範囲(RPO:Recovery Point Objective)
2.事業継続の戦略を策定
  リスクを特定したら、事業を継続するための具体的な戦略を決定します。その場合まずはリスクの優先順位をつけましょう。基準としては発生頻度と深刻度です。そして実現可能な具体策を決めてください。例えば次のような対策が考えられます。
  ・代替拠点の確保
   本社が被災した場合のバックアップオフィス
  ・リモートワークの導入
   感染症対策としての在宅勤務の体制づくり
  ・データのバックアップ
   クラウドストレージの活用         など
3.BCPの文書化と運用体制の整備
  策定したBCPを文書化し社内で共有することが重要です。また実際の運用を考え次のような仕組みを構築する必要があります。
  ・緊急時の指揮命令系統の明確化
  ・従業員の役割と責任の定義
  ・外部関係者(取引先・顧客・行政)との連携ルール
4.訓練と見直しの実施
  BCPは策定して終わりではなく、定期的な訓練と見直しが不可欠です。定期的な見直しを行い、状況の変化に応じてBCPをアップデートすることが重要です。具体例として次のような訓練、確認を行いましょう。
  ・シミュレーション訓練
   地震やサイバー攻撃を想定した訓練
  ・机上訓練
   経営層や管理職向けのワークショップ
  ・従業員向け研修
   緊急時の行動手順の確認

■成功事例と失敗事例から学ぶ

1.成功事例
  あるIT企業では、東日本大震災を機にBCPを強化。クラウド環境への移行とリモートワーク体制を整備した結果、新型コロナウイルスの流行時にもスムーズに業務を継続できました。
2.失敗事例
  製造業において部品供給を1社で賄っており、その企業が資金難に陥り部品供給が途絶えたことで数か月間操業停止を余儀なくされました。BCPは策定していたが見直しをしていなかったことから対応が遅れた。
 
 ここでは、最初から完璧にする必要はありません。あらゆる事態を想定してすべてのリスクの計画を立てることは現実的ではありません。できる範囲から埋めていく手順で進めるのが現実的です。どの企業でも従業員がいれば、最優先事項は安否確認です。小規模の企業だからこんなもの必要ないといわれる方もいらっしゃるかと思いますが、社員がいない場合でもご家族との安否確認の方法はあらかじめ決めておくことが最初の一歩になります。そこから自社に適したBCPを構築し、定期的に見直していきましょう。事業継続のための備えが、企業の信頼性を高め、長期的な成長につながります。

今月のアプリケーション

「Evernote」
 ちょっとしたメモ書きから本格的な記録まで幅広く活用できます。
メジャーなアプリのためお使いの方もいらっしゃるでしょう。      無料

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令和7年10月1日より誠に勝手ながら、働き方改革の一環として一斉でのお昼休憩時間確保のため12時から12時45分迄の間、お昼休み時間を設けさせていただきます。皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
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