中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)

2025年7月号 No.407
経営のお役立ち情報
Ⅰ電子取引データの保存制度の見直し
― 経済社会のデジタル化に伴う対応 ―
令和5年度の税制改正により見直しをされた電子帳簿等保存制度ですが、令和6年1月に電子取引データ保存の義務化がはじまっています。電子取引データ保存では、見積書、契約書、請求書、領収書等をデータでやり取りした場合には、そのデータを一定の要件に従って保存することを定めています。この義務化は、申告所得税、法人税に関して帳簿書類の保存義務が課されているすべての事業者で対応が必要となっています。電子取引データは、紙の書類等を保存する場合に比べて複製・改ざん行為が容易で、その痕跡が残りにくいという特性があることから、電子取引データに関連する隠蔽・仮想行為については重加算税の割合が10%加重されます。
経済社会のデジタル化に伴い、事業経営や取引・財務に関する情報処理、決裁分野でもデジタル化が進展しており、納税者が簡単、適正に申告等ができるように税務手続のデジタル化も進展させなければなりません。つまり、取引から会計・税務までのデジタルシームレスの普及が必要であります。これにより事業者の生産性向上や経営の高度化が期待され、人手による入力作業がなくなるため、事業者の事務負担軽減や税務コンプライアンスの向上も期待されます。
■ 令和7年度の税制改正の概要
令和7年度の税制改正において、電子取引データ(デジタルデータ)を自動で保存し、帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が、電子帳簿保存法に新設され、それらの電子取引データを一定の要件を満たして送受信・保存を行う場合には、令和9年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税についてその電子取引データに関連する隠蔽・仮想行為について重加算税の10%加重の適用対象から除外するとともに、令和9年分以後の所得税について青色申告特別控除65万円を適用することができることとされました。
なお、これらの税制上の措置を受けるためには国税庁長官の定める基準に適合するシステムを使用した上で、電子取引データを新設された一定の要件を満たして送受信・保存を行い、確認できるようにしなければなりません。また、あらかじめ届出書の提出も必要です。
■ 送受信・保存の要件
新設される送受信・保存に要件は以下の通りであります。
1.その電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認できる特定電子計算処理システム(国税庁長官の定める基準に適合するシステムのこと。訂正又は削除を行うことができないものを含む)を使用してその電磁的記録の送受信・保存を行うこと。
【改ざん防止の確保】
2.その電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項(金額限定)を訂正又は削除を行った上で国税関係帳簿に係る電磁的記録等に記録した場合には、その訂正又は削除を行った事実、内容を確認できる特定電子計算処理システム(訂正又は削除を行った上で国税関係帳簿に係る電磁的記録に記録できないものを含む)を使用してその電磁的記録を送受信・保存を行うこと。
【記帳の適正性確保】
3.その電子取引の取引情報(請求書・納品書等の重要書類に通常記載される事項限定)に係る電磁的記録の記録事項とその取引情報に関連する国税関係帳簿に係る電磁的記録等の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できるようにしておくこと。
【電子帳簿との相互関連性確保】
4.上記1及び2の特定電子計算処理システムを使用してその電子取引の取引情報に係る電磁的記録の送受信・保存を行ったことを確認できるようにしておくこと。
■ 特定電子計算処理システム(国税庁長官の定める基準に適合するシステム)
特定電子計算処理システム(国税庁長官の定める基準)は、次に掲げるいずれかの電磁的記録を送受信・保存の要件の1から4に掲げる要件に従って保存を行うことができる機能を有していることとされています。
- 仕入明細書又は適格請求書に記載すべき事項に係る電磁的記録の仕様としてデジタル庁が管理するものに従って提供された電子取引の取引情報に係る電磁的記録。
- 金融機関等のいずれかに預金口座又は貯金口座を開設している預金者又は貯金者の委託を受けてその金融機関等が行うこれらの口座に係る資金を移動させる為替取引の取引情報に係る電磁的記録。
デジタル化進展のスピードは、今後さらに速まることが予想されます。また、この改正の適用を受けるためには、会計ソフト、販売管理ソフト、証憑管理ソフト等が国税庁長官の定める基準に適合するシステムであることが必要になります。
Ⅱ社員旅行などの福利厚生費
― その費用、給与として扱われないよう注意してください。 ―
4月13日に大阪・関西万博が開催され、社員旅行として行かれた方や、計画をされている方も多いかと思います。また、社員旅行ではなく、従業員さんに慰安会、レクレーション等として大阪・関西万博を見学してもらう為に、その入場券を配布される方もあるでしょう。国税庁の文書照会事例「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に係る費用の税務上の取扱いについて(令和5年3月28日回答)」で2005年に愛知県で行われた万博と同様、家族分を含めて入場券の費用を全額福利厚生費とすることができるとあります。前提条件として、入場券を希望する全従業員を対象に希望する家族分も含めて交付する。(特定の人には交付しないとか、特定の人にだけ交付するはダメです)、交付を受けた方が転売(譲渡)することを禁止し、実際に使用したことの報告をしてもらわなければなりません。また、この入場券の代わりに交付を希望しなかった人に現金等の給付をしてはいけません。また、法人としてその費用を損金にするタイミングは、原則として、入場券を使用した時点ですが、入場券を従業員さんに交付した時点でも差し支えありません。
損金とできる社会保険料等の法定福利費の他に上記のような福利厚生費があります。しかし、条件次第では、従業員さんに対する福利厚生費が従業員さんの給与として税務上扱われ、給与課税として毎月の源泉徴収の対象となります。ここでは、そういった給与課税とされるものをご説明させて頂きます。
■ 電車・バス通勤の方の通勤手当の非課税について
電車やバスなどの交通機関だけを利用している場合は、最も経済的かつ合理的な経路及び方法による通勤手当や通勤定期券などの金額が、1ケ月15万円までは非課税となります。超過分は給与課税されます。新幹線や特急料金が最も経済的かつ合理的な経路及び方法であれば通勤手当等の金額に含めて金額の検討をしますが、グリーン料金は認められません。
電車やバスなどの交通機関とマイカーや自転車なども使っている場合は、電車やバスなどの交通機関を利用する1ケ月の定期券の金額とマイカーや自転車等を使って通勤する片道の距離で決まっている1ケ月当たりの非課税限度額の合計が15万円までは非課税となりますが、超過分は給与課税されます。
■ マイカーや自転車通勤の方の通勤手当の非課税について
マイカーや自転車を利用している場合の1ケ月の非課税限度額は、片道の通勤距離(通勤経路で計算)に応じて以下の金額となります。超過分は給与課税されます。但し、2㎞未満は全額給与課税されます。
①2㎞以上10㎞ 未満は4,200円 ② 10㎞以上15㎞未満は7,100円
③ 15㎞以上25㎞ 未満は12,900円 ④ 25㎞以上35㎞未満は18,700円
⑤ 35㎞以上45㎞ 未満は24,40円 ⑥ 45㎞以上55㎞未満は28,000円
⑦ 55㎞以上は31,600円
■ 社員旅行が非課税となる条件
社員旅行について、社会通念上一般に行われているレクレーション旅行について以下の条件を満たすことで、給与課税とはなりません。
- 旅行の期間が4泊5日以内。(海外旅行であれば、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
- 旅行に参加した人数が全体の50%以上であること。(工場や支店単位で行うのであればその職場ごとの人数の50%以上が参加)
但し、この1と2の条件を満たしていても、自己の都合で参加しなかった方に金銭を支給する場合、その支給額に相当する金額を参加者と不参加者全員に給与課税されるのでご注意ください。
また、以下に該当するものは、給与課税又は接待交際費となるので注意ください。
①役員さんだけでおこなう旅行
②取引先に対する接待、供応、慰安の為の旅行
③実質的に私的旅行と認められる旅行
④金銭との選択が可能な旅行
■ 研修旅行は非課税となるか
研修旅行について会社の業務を行う上で直接必要な場合は給与課税さませんが、直接必要でない場合は給与課税されます。同業者団体の主催する主に観光旅行を目的にした団体旅行や、旅行のあっせん業者等が主催する団体旅行、観光渡航の許可をもらい海外で行う研修旅行は原則として給与課税となります。
■ 会社が負担する食事の支給について
役員さんや従業員さんに支給する食事が以下の2点の条件を満たせば給与課税とされません。
- 役員さんや従業員さん自身が食事の半分以上の費用を個人負担している。
- 消費税抜で1ケ月の会社負担額が3,500円以下である。
もし、この2つの条件を満たせなければ食事価額から自己負担額を控除した額が給与課税されます。
また、通常の勤務時間外の宿日直又は残業することに対し、従業員さんに支給する食事については給与課税されません。正規の勤務時間の一部又は全部が深夜(午後10時から翌日午前5時)に勤務する深夜勤務者に対して、夜食の提供ができないので通常の給与に加算して支給される夜食代は、その支給額が勤務1回につき300円以下のものについては、給与課税されません。
■ 人間ドックで検診した費用について
人間ドックで検診した費用について以下の条件を満たさないと給与課税とされるので注意してください。
- 役員の方や特定の地位にある方だけを検診の対象とするものではないこと。但し、一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができるとしているのは問題ありません。
- その人間ドックによる検診の内容が健康管理の必要から一般的に実施されている程度であり、
費用として通常必要であると認められる範囲内のものであること。
また、検診をする医療機関は、会社が指定(契約)した検査機関であることが望ましいとされます。
給与課税とされる危険ある費用は、まだまだありますが、後日また、ご説明させていただきます。
Ⅲ 会議最前線
-無駄な時間の排除-
会社の意思決定や進捗管理、アイデアだし、情報共有など会議の目的は様々企業経営には欠かせないアイテムであるのも事実です。しかし、「大人数で時間がかかる」「座っているだけの人がいる」「結論が出ない」「同じような会議が多い」など課題があるのみ事実です。効率よく成果につながる会議とはどのようなものなのでしょうか。
■目的
大きく分けてカテゴライズしてみました。以下の4つを見て皆様はどう思われますか。すべて必要な会議だと思われますか。
1.意思決定
ヒト・モノ・カネといった企業の資本の使い道を決定したり、事業方針や年度予算を決めたりします。中小企業では社長の意志が強く反映しますが決めるということが大切です。
2.アイデア出し
課題の解決を一人で考えるのではなく、多くの人の知恵を借りてアイデアを出し合いながら解決方法を模索します。代表的な方法は「ブレインストーミング」です。
3.進捗管理
意思決定会議などで決定されたプロジェクトの進捗会議を定期的に確認・管理し、スケジュール通りに進んでいるか、予定通りに進めるためには何をしなければならないのかその目的を達成するように導いていきます。
4.情報伝達共有
決まった事項をチームなど全員に周知するために行うものです。
■現在の会議の主流
1.時間
1会議1時間。どのような会議であっても今は時間コストに重点が置かれます。従って1時間以上かかる会議は時間の搾取ととらえる企業が増えております。
2.情報伝達会議は行わない
ITがこれほど進んでいなければ必要かもしれませんが、メールやチャットなど便利なツールがある現在において、情報共有や情報伝達はツールによって行います。従ってわざわざ集まって聞いているだけの会議はもう過去のものとなりつつあります。集まる時間・聞いているだけの時間がカットされることになります。
3.トップダウンではなくボトムアップ
発言しない人は会議に出席する必要はありません。と注意書きする会社もあります。すなわち何か意見を持ったうえで会議に出席するためには事前に準備が必要です。だらだらした話し合いや結論の出ない議論は極力避ける傾向にあります。
4.細かい内容の資料作成
パワーポイントの資料でよく見る箇条書きの行間をプレゼンターが説明するスタイルは現在好まれません。すべて記入したうえで行うケースが増えています。プレゼンターの補足をいつまでも覚えていられません。資料にすべてが詰まったものを事前に用意します。またそうなるとページ数が増えたりします。基本A41枚です。要約する力も付きますし内容を表現できなければ採用もされませんので、社員のスキルが上がります。
■ 会議手法
1.3つの留意点(意思決定会議)
(1)責任者をしっかり決める
決めなければならないことに対して意思決定を行い、最終的に責任を持ち、会議を主催し、進行役を務めること。
(2)3つのWを明確に
「何を」「誰が」「いつまでに」を明確にして会議を終えること
(3)参加者の絞り込み
目的を達成するために必要最低限の人数で、かつ意思決定権を持つ人が集まる。
権限を細かく移譲することによって本当に必要な人だけで済むようになります。
2.プレインストーミング・(アイデア出し)※ほかにも手法があります
(1)議論が散漫になるのでゴールは一つ
ゴールを一つにしないといろいろなアイデアが散漫になり結論の出ない会議となってしまいます。
(2)会議を活性化させるファシリテーターを必ず一人決める
外部からの招聘でもかまいませんが、時間管理・進行などを決めておかないと時間ばかりかかってしまいます。
(3)テーマに関係のないような部署からも幅広く参加者を募る
アイデア出しなので固定観念を持つことが一番マイナスです。
(4)ルールとして反対意見・批判は一切排除
ありえないアイデアも出されることもあります。ですがそこから発展して斬新なアイデアが生まれることもあります。
3.KPI(重要業績評価指標)を設定する(進捗管理)
行動を定量化(数値化)することが大切です。定量化した指標を用いないと、現状のステータスが成功なのか失敗なのか不明瞭になってしまいます。そのため適切にPDCAサイクルが回りません。
4.1on1ミーティング(情報伝達)
会議としてではなく一人一人で伝達しましょう。会議にするとその情報に関係ない人の時間を奪うことになります。共有しなければならない人がいるなら「Aさんと共有しておいて」で済みます。会議での情報伝達では内容を聞き流してしまうこともありますが上司が直接個別に情報をつなぐやり方であれば、しっかりと記憶に残る形で必要な人だけ情報共有することができます。
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編集委員長 藤本 清
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