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TFGニュース 2023年2月号

中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
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2023年2月号 No.378

今月のコンテンツ

経営のお役立ち情報

I. 確定申告の準備は万全ですか?

確定申告で税金が戻るかも?
2023年提出分の確定申告期間は、2023年2月16日から3月15日までです。確定申告とは、1年間の儲けから所得税を計算して、税金を納めることです。自営業やフリーランスの方は毎年行いますがサラリーマンは年末調整で済むため、確定申告は原則不要です。しかし、不要だからといって確定申告してはいけないわけではありません。控除の手続きのなかには、確定申告でのみ手続きができ、したほうがお得な場合もあります。確定申告でしかできないことについてみていきます。

医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除は、確定申告対象年の1月1日~12月31日までの1年間に支払った医療費が10万円を超えたときに受けられる所得控除です。10万円を超えた部分が所得控除できます。(最高で200万円)医療費は「10万円以上かかっていないから控除はできない」と最初から諦めてしまいがちな控除です。医療費控除の対象は「自己または自己と生計を一とする配偶者やその他の親族のために払った医療費」なので、自分だけでなく、同一生計の家族の医療費と合算して10万円を超えれば利用できます。また以下の点についても確認する必要があります。
  • 入院の場合には病院に対しての食事代も含まれる。
  • 付添人を頼んだ時には療養上の世話を受けるための費用として対象となる。
  • 所得200万円未満の場合には総所得5%を超えた金額が対象となる。
    ex)150万円の所得なら10万円ではなく、75,000円を超えた部分が対象となります。
  • 通院のためにかかった公共交通機関の交通費も合算できる。
医療費控除には意外と見逃しがちなポイントがあります。また、e-Taxであれば医療費のお知らせなどの添付書類は、保存義務はあるものの原則不要です。
健康診断や予防接種を受けている人が、薬局などで1年間に1万2,000円を超えるスイッチOTC医薬品を購入した場合には、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制が受けられます。セルフメディケーション税制では、1万2,000円を超えた部分が所得控除できます(最高で8万8,000円)。
医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか片方しか使えませんが、自分だけでなく、同一生計の家族の分もまとめて利用できます。日頃から医療機関にかかったときの領収書や明細書をためておき、控除額が大きくなる方を利用することができます。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は、返済期間10年以上の住宅ローンを利用してマイホームを購入(新築)・リフォーム(増改築)した際に、居住を開始した年から原則として10年間「住宅借入金等特別控除」を受けられます。年末の住宅ローン残高の1%が10年間所得税から控除できる制度です(注文住宅は2021年9月、分譲住宅等は2021年11月までに契約し、2022年末までに入居すると控除期間が13年に延長)。住宅ローン控除は所得控除ではなく、税金を直接差し引く「税額控除」なので、税金を大きく減らせる効果があります。住宅ローン控除の手続きは、初年度だけ確定申告が必要で、次年度からは年末調整で手続きできます。

ふるさと納税

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附ができる制度です。2,000円を超える金額について、所得税や住民税から控除できます。その上、ふるさと納税をすると、多くの自治体ではお礼の品(返礼品)を送ってくれます。返礼品は食品、日用品、雑貨など、地域の特産品が数多くあります。これが実質2,000円で手に入り、かつ、自分が納めた税金の使い道を自分で直接指定できる数少ない制度ということもあり人気です。
ふるさと納税をすると寄附金受領証明書が届きます。この証明書を添えて確定申告を行うと、寄附金控除が受けられて税金が安くなります。また、もともと確定申告が不要な給与所得者は、ふるさと納税の納税先が5自治体までであれば、「ワンストップ特例制度」を利用できます。この制度は寄附毎に、各自治体に申請書および本人証明書類を提出することで住民税から全額控除(減額)されるという仕組みであり、確定申告なしでも税金を安くできます。

雑損控除

雑損控除は、本人や家族の資産が、災害、盗難、横領などで損害を受け、その損害額が一定額を超える場合、その超える金額を所得の金額から控除できるものです。この場合の家族とは、本人と生計を一にする総所得金額等が48万円以下の配偶者や親族です。雑損控除の対象となるのは、家具や現金など「生活に通常必要となる資産」に限られます。1個または1組の価額が30万円超の貴金属、
書画、骨董、娯楽品などの贅沢品は、対象となりませんし、別荘や事業用資産も対象とはなりません。なお、損害の原因として詐欺、脅迫による損失は対象とはなりません。
控除できる金額は、次の二つのいずれか多い方の金額です。
  • (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
  • (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

年末調整や確定申告で所得控除や税額控除をすれば、支払う所得税や住民税が減らせます。減らせるということは、手元に残るお金が増えるということです。
控除には見落としがちな点もあるため、漏れのないように一つずつ確認・手続きが必要です。
もし、年末調整で手続きを忘れた場合、確定申告をすれば控除が受けられます。確定申告を忘れた場合も、5年以内であれば「還付申告」という手続きをすることで、払いすぎた税金が戻ってきます。該当する控除がある方は、確定申告することを検討してみて下さい。

II. インボイスの改正案が閣議決定されました!

支援措置として改正案がでました
当ニュースをお読みになられている方々は、「令和5(2023)年10月1日よりインボイス制度(適格請求書等保存方式)がスタートします。」と何回もお聞きになられて飽き飽きされているかもしれませんが、本当にインボイス制度はスタートします。
このインボイス制度に対しては、令和4(2022)年度補正予算で各種補助金を拡充し、また政府において令和5(2023)年度税制改正大綱でインボイス制度の負担軽減措置(税制改正)を閣議決定しました。これらはインボイス制度に対する支援措置として位置付けられますが、当ニュースでは閣議決定された「インボイス制度の負担軽減措置(税制改正)」について記載致します。
なお、今回記載致します負担軽減措置は、現状ではあくまでも閣議決定された「案」であり、これから始まる通常国会において審議されて、その後国会を通過してはじめて実現するものです。

納税額が売上税額の2割に軽減(2割特例)

インボイス制度によりインボイス発行事業者となった場合は、免税事業者であった方は課税事業者になってしまいます。この場合の税負担・事務負担を軽減するため、売上税額の2割を納税額とするものです。
対象となる方は、免税事業者からインボイス発行事業者になられた方(2年前(基準期間)の課税売上高が1千万円以下)です。資本金1千万円以上の新設法人、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った場合等は対象になりません。
対象期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。個人事業者は令和5年10月から12月の申告分から令和8年の申告分までです。3月決算の法人は令和5年10月から翌3月の申告分から令和8年度の申告(決算日令和9年3月31日)分までです。なお、例えば、個人事業者で令和8年分の申告について、令和6年(基準期間)の課税売上高が1千万円超の場合には、この2割特例は適用できません。注意が必要です。
2割特例の適用には、そのための届出は必要ありません。消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記すれば適用を受けることができます。また、本則課税と簡易課税のいずれを選択している場合にも2割特例の適用を受けることができます。
それで納税額の事例です。売上高700万円(税額70万円)、経費150万円(税額15万円)のサービス業の場合です。本則課税の場合には、納税額は「70万円-15万円=55万円」になります。また、簡易課税の場合には、納税額は「70万円-35万円=35万円【サービス業、第5種事業、みなし仕入率50%:70万円×50%=35万円】」になります。これが2割特例では、本則課税でも簡易課税でも、70万円×2割=14万円になるということです。

一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)

基準期間の課税売上高が1億円以下又は特定期間(*個人事業者は前年1月から6月までの期間、法人は前事業年度開始日以後6月の期間)の課税売上高が5千万円以下の方が対象で、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間において、1万円未満の課税仕入れ(経費等)について、インボイスの保存がなくても帳簿保存のみで仕入税額控除ができます。(少額特例)
少額特例の1万円は、「税込」1万円未満の課税仕入れが適用対象で、また、1回の取引合計額が1万円未満で判定します。9千円と8千円の商品を同時に購入した場合には、対象外となります。

少額な返還インボイスの交付義務免除

「税込」1万円未満の値引きや返品等について、返還インボイスを交付する必要がなくなります。適用対象者に制限はなく、適用期間のない恒久的な措置です。
売り手が負担する振込手数料を値引きとして処理している場合にも、この交付義務免除の対象となります。

登録申請は4月以降でも大丈夫(登録制度の見直しと手続の柔軟化)

当初、令和5年10月1日のインボイス制度の開始にあわせて登録を受けるための期限は、令和5年3月31日まで登録申請することでした。これが、4月以降の申請であっても、令和5年9月30日までに行われたものについては、インボイス制度が開始する令和5年10月1日に登録を受けることが可能となり申請書に「期限までの申請が困難な事情」を記載することも不要になります。

以上が、インボイス制度の負担軽減措置(案)でありますが、財務省のホームページにおいて「インボイス制度、支援措置があるって本当!?」、「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」がPDFファイルで掲載されております。是非、ご覧になられてはと存じます。

III. 金融資産の保険制度について

自分の資産を守りましょう
銀行預金・株式や投資信託・生命保険。今は分散して保有することが当たり前になってきました。そんな中で万が一銀行などが破綻したとき、皆様の金融資産はどうなるのでしょう。実際に2010年日本振興銀行が破綻した際にペイオフが発動され預金の一部(3,500人の対象者が1,000万以上預けており総額で100億円)が返ってきておりません。従って、自分の資産は自分で守る必要があります。ではどのようになっているのかをご紹介いたします。

預金保険制度

預金保険制度は、万が一金融機関が破綻した場合に、預金者等の保護や資金決済の履行の確保を図ることによって信用秩序を維持することを目的としています。

  1. 預金の範囲
    実際の範囲については金融機関によって若干差異がありますので、ここでは一般的な内容で説明いたします。
    預金保険制度には保護される部分は限定的です。次ページの図を参考にしてください。
    財産を守るためには基準をしっかり把握しておくことが大切です。
預金等の分類
保護の範囲
預金保険制度の対象預金等
決済用預金
当座預金
利息の付かない普通預金等
全額保護

一般預金等
利息の付く普通預金
定期預金
定期積み金
元本補填契約のある金銭信託
(ビッグ等の貸付信託含む)
金融機関ごとに預金者1人当たり、元本1,000万円までと破綻日までの利息等保護25%以上
預金保険制度の対象外
外貨預金
譲渡性預金
無記名預金
架空名義の預金
他人名義の預金(借名預金)
金融債(募集債及び保護預かり契約が終了したもの)
保護対象外
※どのような預金が決済用預金になるかは金融機関によって違いますので確認願います。
図のように全額保護されるもの。1,000万円保護されるもの。保護されないもの。リスク管理という観点からもう一度見直しが必要の場合もあると思います。

投資者の保護

では証券会社ではどうでしょう。
基本的には顧客から預かった株券や債券は証券会社自身が保有する財産と分別管理されていますので、証券会社が破綻しても影響はありません。
ただし、顧客分別信託のタイムラグにより不足額が発生する場合があります。その場合は投資者保護基金が補填支払いを行います。これは日本で営業の証券会社では基金に加入することが義務付けられていますので基本的には日本の証券会社に預けている場合は適用されます。ただし補償対象債権と保護の範囲が定められていますので以下の図で確認してください。
対象有価証券・お金
  • 有価証券の保護預かり
  • 株式・債券等の売買
  • 信用取引の委託保証金
  • 投資信託の販売など
  • 証券取引所における先物取引・オプション取引の委託証拠金
保護基金が合計1,000万円まで補償
  • 店頭デリバティブ取引
  • 外国市場デリバティブ取引に係るものなど
保護基金による補償はありません
このように、金融資産が全て補償されているわけではありません。
万が一の場合は、自分の資産は自己責任として守らないといけません。分散するなどして、お守りください。
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セミナー情報

消費税インボイス制度 シリーズIII WEBセミナー

いよいよ開始時期が迫ってきました。一定期間配信期間を設けていますのでこのセミナーで最終チェックをしてみてください。皆様の不明点・不安点の解消に役立てれば幸いでございます。
テーマ
いよいよインボイスがスタート -事前準備は大丈夫ですか-
講師
TFG税理士法人 税理士 大谷 彰秀
WEB配信期間
令和5年5月1日(月)8:00~15日(月)24:00迄
費用
無料
視聴時間
60分
視聴方法
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