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TFGニュース 2023年1月号

中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
メールマガジンタイトル
2023年1月号 No.377

今月のコンテンツ

経営のお役立ち情報

I. ご挨拶

謹賀新年
今年もどうぞよろしくお願いします。
TFGグループ 代表 田中洋子

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、何かとご厚誼を賜りありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
コロナ流行から約3年が経過、やっと昨年秋に入国制限も緩和、円安の影響もあり、インバウンド需要は、やや回復の兆しがあるようですが、経済活動の正常化にはもう暫く時間がかかりそうです。このような状況の中、何とか今年こそはと、何等かの意思を表明され神頼みをされた経営者の方も多かったのではないでしょうか。どうか、皆様にとって本年が良い年になりますことを、心よりご祈念申し上げます。
さて、税制面では、ここ数年、賃上げを要件とする税額控除等の政策がとられておりますが、恩恵を受けている中小企業者様も少ないように感じております。
また、給与改定率に比べ、物価上昇率が高く、実質的賃金は下がっている状況(厚労省12/6発表10月分:前年同月比2.6%減※7ヶ月連続マイナス)が続く中、これ以上は、賃上げをしたくても無い袖は振れないというのが経営者様の本音ではないでしょうか。
ただ、人的資本の外部環境も変わる中、コスト削減による消耗戦も限界にきており、価格転嫁へのタイミングと賃金上昇のバランスの狭間で、今後の戦略に苦慮されている経営者様も多いのではないかと拝察いたします。
ここで、労務管理上の重要な指標でもある“労働分配率”について、今一度、前年同月などの時系列での確認、同業他社との比較などで確認してみてはいかがでしょうか。この指標は、高すぎず、低すぎず、バランスをとることが重要です。随時、モニタリングをして手遅れにならないようにすることが大事です。

目標は、人件費は高く、労働分配率は低くです。今後の経営戦略に、ご活用いただければと思います。
「労働分配率(%)=人件費/限界利益×100」

※1 指標分析は、当然のことではありますが月次決算の精度が高いことがポイントです。
※2 人件費は、通常は、賃金、給与、賞与、役員報酬、厚生費、福利厚生費等です。
※3 限界利益とは、売上高から変動費(売上増減に比例する費用)を差引きしたものです。

本年もTFGグループスタッフ一同、「中小企業経営の発展が、我が心のよろこび」の思いでご支援をさせていただきます。経営者は、毎日が修行で孤独です。親しい友人、同業者、異業種等経営者の会でも情報交換、ビジネスマッチング等には有益ですが、中々自社の業績を開示し腹を割っての相談となると躊躇されるという経営者の方も多いのではないでしょうか。私共は、毎月巡回監査を実施しております。どうぞ、お気軽に窓口でもあります巡回分担者に、何なりご相談下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
末筆ではございますが、皆様の今後、益々のご発展を心より、ご祈念致しております。

II. 副業収入に係る事業所得の取扱いについて

副業にも税金がかかります
昨今の労働環境の変化に伴い副業を認める企業が増えてきています。また、ネット取引が発達するにつれてインターネットを介して物品を流通させるケースも増えてきています。そこで得られた収入について、かねてより所得金額が20万円以上になれば申告義務が生じるのですが、その所得計算の区分(事業所得か雑所得か)があいまいになっていました。その区分を明確にする所得税基本通達が令和4年10月に改正され、ある程度の線引きがされました。
そこでこの通達の内容に触れるとともに、事業所得と雑所得とで何が変わってくるのかについて見ていきたいと思います。

通達の改正内容について

  1. 雑所得に該当するものとして、新たに譲渡所得の基因とならない資産の譲渡から生ずる所得が例示されました。ただし、営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生ずる所得は事業所得に分類されることになります。
  2. 営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得は、事業所得と認められるものを除き雑所得に分類されることになりました。
    事業所得と認められるものかどうかは、その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定されます。
    なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得に該当します。
  3. この通達をまとめると
    (1)記帳・帳簿書類の保存がある場合は概ね事業所得となります。ただし、収入金額が僅少と認められる場合やその所得を得る活動に営利性が認められない場合には事業と認められるかどうか個別的に判断されます。
    (2)記帳・帳簿書類の保存がない場合はほぼ例外なく業務に関する雑所得に分類されます。

事業所得と雑所得の違いについて

通達の内容改正で事業所得と雑所得の分類ができたとして、この両者にどのような違いがあるのでしょうか?事業所得も雑所得も所得金額そのものはともに収入金額からその収入を得るために費消した経費を差し引くことで求められるのですが、その金額がマイナスとなった場合に両者の扱いは変わってきます。
事業所得の場合は所得金額がマイナスとなった場合に他の所得(副業を想定すると給与所得が多いと思われます)と相殺することができるのですが、雑所得の場合だとそのマイナスは切り捨てられ他の所得に影響を及ぼしません。その他、事前に届出をして青色申告者になっておくことにより、そのマイナス金額を発生年に消化しきれなかった場合に翌年以降に繰り越すこと(純損失の繰越控除)や、最低10万円、条件を満たすことで最大65万円の控除(青色申告特別控除)など、事業所得には所得金額の計算上様々な優遇措置があるのです。

記帳・帳簿書類の保存について

事業所得と分類されれば所得金額の計算上有利になるのですが、そのためには日々の取引を記帳し、その記帳した帳簿書類を一定期間保存しておく必要があります。青色申告者である場合には、日々の取引を正規の簿記の原則に従って処理し、その記録も合わせて保存する必要があります。
これらとは別に、令和4年分から前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円超ある人についても、その業務に係る現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。なお、「現金預金取引等関係書類」とは、居住者等が業務に関して作成・受領した請求書、領収書その他これらに類する書類(自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものは、その写しを含みます。)のうち、現金の収受・払出し、預貯金の預入・引出しに際して作成されたものをいいます。

いかがでしょうか?副業として意識的に稼ぎを挙げようとする方から不要品をインターネットを介して取引して小遣い稼ぎにいそしむ方まで、本職以外で収入を得られるケースはこれからも増加していくものと思われますが、所得税法ではあらゆるケースを想定して課税しようとしています。今回の通達改正には十分ご注意いただきたいと思います。
 大阪・関西万博 情報ミニコーナー
「TEAM EXPO 2025」プログラム。皆様ご存じですか?
大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を実現し、SDGsの達成に貢献するために、多様な参加者が主体となり・・・(HP抜粋)
ここでは「共創チャレンジ」「共創パートナー」の2つのプログラムがあり、見るだけでなくみんなで創る参加型プログラムで共に未来をに創っていくというメッセージがつづられています。今一つ盛り上がりに欠けるように感じておりますが、これから関西が元気になり、2025年万博を通じて何か世界へ発信できる活動ができればよいですね。ロゴマークも登録して規約を守れば使用できるようです。一度検討してみてはいかがでしょうか?

III. 自筆証書遺言と公正証書遺言

早めの準備が大切です
「相続」とは、「争族」と揶揄されるように、醜い争いがおこることがよくあります。しかも、財産を持っている本人の意思がそこに反映されないがために起こることが多いです。
今回は本人の意思はどうやって反映させるのかという観点で、「遺言」取り上げてみました。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、費用や手間がかからないという利点があります。しかし無効になってしまうケースも散見されます。不備なく作成するために弁護士などの専門家に相談される方もいらっしゃいます。遺言書を執行するためには家庭裁判所での検認手続きが必要です。
  1. 書き方
    本文は(遺言内容を記した全文)は自筆で書く。日付を記入、署名・押印するといった法律上の要件を遵守しなければなりません。しかし、財産目録に関しては本文とは別に、パソコンでの作成や通帳コピーの添付が認められるようになりました。ただし、すべてのページに本文同様に署名・押印が必要です。
  2. 保管方法
    (1)自宅での保管や専門家に預ける。
    ご自宅で保管される場合は、紛失や破棄のリスク、あるいは大切にしまい込んでおいたために発見されないといったことが心配されます。
    専門家に預ける場合は相続が開始されたらすぐに預けた方へ連絡がいくようにしておかなければなりません。
    またごくわずかですが、銀行の貸金庫に預けられる方もいらっしゃいます。
    (2)法務局補完制度
    2020年7月10日より法務局で保管できることとなりました。
    遺言者の住所、又は本籍地、あるいは遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言保管所に、遺言者自らが出向き保管の申請をします。申請の際には、遺言書の方式の適合性の確認がありますので、封をしないで持参する必要があります。遺言者が亡くなるまで、保管されている遺言書を遺言者以外が閲覧することはできません。遺言者が亡くなった後、相続人や受遺者も遺言書に閲覧や写しの請求が可能となります。保管手続きの手間はありますが、家庭裁判所での検認が免除されるほか、公正証書遺言同様に紛失や発見した人の都合のいいように変造されるリスクはありません。従って、昨今利用者は急増しています。
  3. 自検認手続き
    法務局の制度を利用せずに保管していた自筆証書遺言は、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所での検認手続きが必要です。また、封がされていた場合は勝手に開封してはいけません。
    家庭裁判所には、利害関係にある方が遺言書を提出し検認を請求します。検認では、原則、法定相続人の立会いのもと遺言書の存在について知らせるとともに、遺言書の偽造・変造を防止する
    ため、検認時点での遺言書の内容を明確にします。検認完了までには1~2か月の期間がかかります。

公正証書遺言

公証役場での遺言書を作成する方法ですが、役場によって、若干手順が異なることもあるようですが、一般的な方法をご案内いたします。

  1. 作成方法
    (1)事前打ち合わせ
    公証役場に連絡を入れ担当の公証人を決めてもらいます。担当者と打ち合わせを重ねます。
    また、必要な書類の確認や証人の決定も行います。尚、未成年者、推定相続人(相続開始時、相続人になる可能性のあるご親族の方)や受遺者(個人の場合はその配偶者も含む)とその配偶者、直系血族等(民法974条)は証人(遺言作成時の立会人)になることができません。適当な証人が見つからない場合は、公証人役場に紹介を頼んだり、弁護士や税理士などの専門家に依頼したりすることも可能です。ただし、別途交通費や日当がかかります。
    (2)公証役場で遺言書作成
    作成日を予約して当日は事前打ち合わせによって決定した遺言の内容を公証人が読み上げ、確認します。間違いがなければ、本人及び証人2名が署名捺印して遺言書が完成となります。
    公証役場への訪問が困難であれば、自宅や病院、介護施設などで作成することもできます。

  2. 保管方法
    公正証書遺言には原本とその写しである正本、謄本があります。
    遺言書の原本は公証役場に保管されます。同時に正本と謄本が本人に交付されますが、正本は原本と同等の効力を持つため、大切に保管します。
    ご自宅で保管する方法もありますが、正本は遺言執行者など専門家に預けることが多いようです。その場合は、相続が開始されてすぐに預けた方へ連絡がいくようにしなくてはなりません。預けた方の連絡先は、可能であれば身近にいらっしゃる信頼できる方、あるいは通知人に伝えておきます。なお、遺言執行者に正本や謄本を預けていない場合も、公正証書遺言を遺されている旨は伝えておき、相続開始時には身近な方や通知人から連絡してもらいます。
    万一、紛失しても公証役場に再発行を請求することができます。また、公正証書遺言では、家庭裁判所での検認の手続きは必要ありません。

いずれの方法もメリット・デメリットはありますが、本人の意思が反映されます。こんなケースがありました。何も用意もなくお亡くなりになりました。奥様と息子さんが相続人です。奥様は痴呆症で入院中です。自宅を誰も使わないから売却したいと考えても、息子と奥様とで半分ずつ相続権があります。しかし奥様は、意思確認がでないため、売却できません。従って無駄に固定資産税を払い続ける状況になってしまったのです。その上、誰も住まなくなり建物が傷み近所迷惑になっているという2重の問題が見受けられました。

最近「終活」という言葉をよく見かけますが、他人事ではなく残された家族が争族にならないためにも一度、遺言の作成をご検討されてはいかがでしょうか。
 今月のブックマーク
「2022年度グッドカンパニー大賞 表彰企業発表」
全国の中小企業の中から経済的、社会的に優れた成果を挙げている企業を選んで送られる、わが国で最も歴史と実績のある中小企業のための賞が発表されました
2022年度グッドカンパニー大賞 表彰企業発表はこちら

早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)

新型コロナウィルス感染症やウクライナ情勢等の影響により、多くの中小企業者等が売上の減少や借入の増大に直面しております。資金繰りの悪化等が生じ経営に支障が生じることを予防するために資金繰りの安定化を図りつつ、収益力の改善への取組を認定経営革新等支援機関が支援します。その費用について支援する制度です。
補助対象経費
計画策定支援費用・伴走支援費用(期中・決算)
補助率
3分の2以内
補助上限
計画策定支援費用 15万円
伴走支援費用 期中 5万円
伴走支援費用 決算 5万円
TFGは認定支援機関です。くわしくは、ご遠慮なくお問い合わせください。
セミナー情報

消費税インボイス制度 シリーズIII WEBセミナー

いよいよ開始時期が迫ってきました。一定期間配信期間を設けていますのでこのセミナーで最終チェックをしてみてください。皆様の不明点・不安点の解消に役立てれば幸いでございます。
テーマ
いよいよインボイスがスタート -事前準備は大丈夫ですか-
WEB配信期間
令和5年5月予定
費用
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※くわしくは、後日ご案内させていただきます。
健全性支援実績No.1を目指す!
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